計測器の校正の種類とは|自社か外部か

今さら聞けない「校正」とはなにか

「校正」は、計測器の「不確かさ」を確認する検査です。例えば重要の計測器があり、ものを載せたときに「100g」と表示されても、それが本当に正しいかどうかが保証されなければ基準を失ってしまいます。食品工場の製造機器が「200℃」を示していても、実際には205℃だった場合には、商品の品質低下を招いてしまうかもしれません。こうした計測器の「ズレ」は、いきなり起こる場合もありますが、多くは日々の使用の中で少しずつ発生し、いつの間にか大きな誤差に発展します。気づかないまま使用を続け、いつか取り返しのつかない大損害を引き起こしてしまう前に、機器類が現時点でどれほどの「ズレ」を生じているかを把握する行為が「校正」です。

検査は自社内でできるか|実施の種類

機器のズレを検査する程度であれば、自社内でできるのではないかと安易に考えることはできません。もちろん大量の測定器を保有する大手メーカーは、都度アウトソーシングするよりも社内に検査部署を構えたほうがコスト安になるため、そうする場合もあります。ただ、社会的信用に値する検査を実施するには、相応の機器とノウハウを持つエンジニアが必須なため、検査環境の維持や人件費を計算するとアウトソーシングするほうが現実的でしょう。こうしたことから基本的な検査の種類は、メーカーへの依頼とその他業者への依頼の2種類となります。メーカーへ依頼する場合は、該当する機器を購入したメーカーへ連絡し、出荷時に比べてどれほどの誤差が出ているか調べます。製造元であれば正しく検査できますし、必要なら修理もおこなえるでしょう。ただしこの手段の場合、複数のメーカーの機器を保有しているときに多大な手間がかかることになります。これらを踏まえ、現在ではJCSSに認定された業者に依頼する選択が主流になりつつあります。

JCSSロゴマーク入り証明書の有効性

JCSSに認定された業者に依頼すると、JCSSロゴマーク入りの証明書が発行されます。校正には計量法でトレーサビリティが求められ、その「不確かさ」がすべて表記された切れ目のない比較の連鎖を必要とされます。この連鎖を証明するのにも、JCSSロゴマーク入り証明書が有効となります。自社で実施していたり、JCSS以外の一般的な証明書だったりする場合は別途トレーサビリティ証明書の提出が必要となることがありますが、そうした手間がないのもメリットです。現在は世界的に市場が統一され、品質水準も高度化しているのはご存じのとおりです。保有機器が国際規格(ISO/IEC17025)に適合し、社会的信頼を得ていることを保証するためにも、コストをかけて有効な証明を得ておくことは大切です。